黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス
「それでは、朝食を済ませたら……一緒にアルビンへ向かいましょう」


レオパードは、穏やかでありながらも緊張した面持ちで言った。


そして、私も……


「ええ。アルビンへ!」


目的地への想いを募らせていた。

それは、ウルフの動きも気になって仕方がなかったというのもあるけれど、何よりも。

自分の前世……プリンセスの生まれ故郷のアルビンって、どんな所なのだろう?

そんな想いが私の胸の中を忙しなく叩いていたのだった。




優しく差し出された手に掴まってペガサス車に乗り込んだ私は、隣のレオパードにそっと口を開いた。


「ねぇ。前世の私の生まれ故郷……アルビンって、どんな所なの?」


すると、彼はそっと目を細めた。


「雪に覆われて銀色に輝いていて……それはそれは美しい国です」

「そうなんだ……」


前世、私の生まれ故郷だった国。

そのアルビンのことを全く知らないのは、歯痒いようで……とてももどかしい感じがした。


「だからこそ……まるでうららのように美しくて清らかな国だからこそ、侵略して汚そうとするウルフは許せない」


そう言うレオパードはグッと唇を噛み締めて。

私はそんな彼が……『私』の生まれ故郷だったアルビンのために、それほどまでに怒りを露わにするレオパードが愛しくてたまらなくなった。
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