アワビとサルとカエルとゴリラ
0.2話 昔話②
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

渡辺くん、ちょっとムリかも…

そして自己紹介が無事終わり

休み時間に入った時

「かりんちゃーん!」

きみちゃんが私の席にきた

「どうしたのきみちゃん?」

「渡辺くんとさ、あいこ100回ぐらい続いてたよね」

「100回じゃないよ!30回だよ!」

まったく、きみちゃんは話をいつも盛るんだから

「えー!でも、ちょっと私運命感じちゃった♡」

「えっ、でも私ね、渡辺くんてさ」

真面目そうだし
メガネかけてるし
オタクそうだから
私そういう人苦手なんだよね

「だからちょっとムリかな」

「でもかりんちゃん!5年生の時渡辺くんすごいもてたんだよ!」

「へーそうなんだ」

大して興味はなかった

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2週間ぐらいたったある日のこと

「いまから修学旅行の班決めをくじ引きで決めます!」

「そして決まった班のメンバーの近くに席替えしてください」

私は☆印の紙を引いた

そして、1班が☆印だった

「やった!1班だ!」

そして席替えをしたら

隣の席が…

「よろしく」

渡辺くんだった…

もしかして、渡辺くんと同じ班!?

ちょっとやだな…まじかぁ。

「かりんちゃん!」

「きみちゃん!」

もしかしてきみちゃんも☆印かな?

「あたし1班になったんだ!」

「そうなの!やったね!」

きみちゃんがいるから…少しは楽しくなりそう

もう一人の子は

クラスで海男と呼ばれている

よっしーこと本吉 男海(もとよし おみ)

かっこよくはないけど、耳が大きいのがチャームポイント

そして頭がいい

なんて頼りがいのある人だ

「よろしくね、よっしー」

「よろしく!」

残り2人は不登校の人達だった

なんか悲しいな

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
班の係決めで

「俺班長やりたい!」

と、よっしーが言った

「えー、じゃあ私は副班長やる!」

きみちゃんが副班長をやりたいらしい

不登校の子達は

食事と入浴係にしておいて

私は記録係、渡辺くんは時計係になった

「部屋は男女別だっけ」

「男女別だけど、班同士隣の部屋だよ」

「なんかそれはそれでやだな」

「覗きに来ないでよ」

「行かねーよバカ!」

班として少し絆が深まったが

私と渡辺くんは修学旅行の日まで話すことはなかった

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そして、修学旅行当日

電車で鎌倉に行くことになった。

私と隣にいるのはきみちゃん

目の前にいるのはよっしーと渡辺くん

鎌倉に2時間あった。

「鎌倉に着くまでなにしようか?」

「俺じゃがりことメントス食べてるね、ついたら起こして」

安定のマイペースだった

こういう所はあまり好きになれない

早く席替えしないかな

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

目が覚めた

「あれ?まだつかないのかな」

「今起きたの?実はさっき…」

人身事故があったらしい

1時間半も予定が遅れるとのことだった

「なにそれワロタ」

「渡辺くん、不謹慎だよ」

「ご、ごめん」

まったく、渡辺くんはデリカシーがないな

「なあ粟島、お前好きな人いんの?」

「はあ?いるわけないじゃん!」

なんだこいつ!とおもった

「じゃあ粟島抜いて恋バナしようぜ」

「え!あたしも混ぜてよ」

「じゃあ好きな人いるの」

「いないけど…どうやって作るの?」

素朴な疑問だった

「好きな人って作るもんじゃなくて、いつの間にか好きになってるもんだろ」

ちょっとびっくりした

渡辺くんのくせにこういうこというんだ

そしてその後もいろんなことを相談した

相談しているうちに

渡辺くんの笑っている顔が可愛く感じるようになった

そして、渡辺くんと話す度にすこし胸が高鳴るようになった

さっき渡辺くんが言ったことがわかったような気がした

好きな人っていつの間にかできるんだ

でも、私はこの気持ちを言うのは恥ずかしいから

渡辺くんに

「ありがとう」

とだけ伝えておいた

そして、いつの間にか鎌倉についてた

電車から降りた時

私はこの修学旅行を精一杯楽しもうと思った
< 2 / 4 >

この作品をシェア

pagetop