【完】世界を敵に回しても
「フフッ、夏姫ちゃんは可愛いねぇ」
お義母さんは笑顔で夏姫の頭を撫で、
「ほら、そこのバカ2人」
御門とお父さんに、茶々を入れる。
「あなたも素直になられたらどうです?」
「は?」
「待望の孫ですよ。ほら、抱っこしなさいな」
お義母さんの強い押しに戸惑いつつ、お義父さんは夏姫を抱っこした。
「私たちには御門だけでしたから、女の子は新鮮で可愛いですわね」
「しかし、跡継ぎには……」
「跡継ぎ、跡継ぎって……可愛い子供の人生を犠牲にしてじゃないと守れぬ家なんて、存在するだけ無駄です。昔じゃないのですから、そんなに固執しないことですわ。それに何より、子供の体を作るのは母親ですが……性別を決めたりする大元は、男なのです!男の子が生まれないからと、女を責めるその考え方、私はもう古いと思いますわ!」
お義父さんの声に、まさかのお義母さんが一喝。
「男の子が産まれなかったら、それは御門のせいなのです。夏咲さんは悪くないです。強いては、男の子を作れない子にしたあなたの精子が問題なのです!」
見た目にそぐわない口ぶりに、私は瞠目する。
お義父さんも、あんぐりとしてて。
「……な?母さんは問題ないんだよ」
御門は小さな声で、そう言ってくる。