【完】世界を敵に回しても
私は恐る恐る手を上げて。
「私は妻として、精一杯のことはするつもりです。御門を死ぬまで支えていく覚悟もあります。夏姫のことは、お知らせできなかったのですが……」
私はそっと、自分のお腹に手を当てて。
「次の子の名前、お二人につけていただきたいんです」
「え?」
「3ヶ月前、診断を受けたら……3ヶ月と言われまして。今、6ヶ月なんです。目立たない方なので、わからないと思いますが」
「まぁっ!」
勢いよく、立ち上がったお義母さん。
「それなら、正座しちゃダメよ!着物も……色々動きまわって!大人しくしていないと!!」
すごい……。
心配の仕方が、御門と一緒だ。
『何もしなくていい。俺がする』
そう言われ、本当に夏姫の時は何も出来なかった私。
「名前か……」
お義父さんは少し、ノリノリみたい。
厳つい顔だから、少し怖いけど……悪い人ではないことは、私はよく知っている。
「御門と合わせて、御陽(ミハル)とか?」
「まぁ!なんて、ネーミングセンスの無さ!!御門の時も思いましたけど、どうしてそんなに畏まった名前をつけたがるのです?玲於(レオ)にしましょう!」
「畏まった……夏……」
お義母さんの言葉に、黙りこくったお義父さん。
夏姫を見下ろして、
「……じゃあ、夏陽(ナツヒ)?」
と、首をかしげた。