【完】世界を敵に回しても

「夏陽！貴方にしては、良いチョイスですわね。それを、御門の時に言ってほしかったですけど」


お義母さんの遠慮のない物言い。


ついには。


「―……まぁ、どっちでもいいから。話し合っててよ」


御門が投げる始末。


「御門ったら……」


「だって、面倒……夏咲もどうして、2人に名付けを頼んだのさ」


「んー……」


色々、理由はある。


勝手に入籍してしまった後ろめたさとか、まぁ……でも、そういうんじゃなくて。


「憧れ、かな」


「憧れ？」


「私、両親がいないから。だから、私、御門の両親がすごく好きなの。好きな人に自分の大事な子供の名前を任せたいのよ。……ダメだった？」


私の意思で、勝手にやった事だから。


本当は、御門は嫌だったのかな……。


「……あー、可愛い」


けど、帰ってきた言葉は、私が想像していたものではなくて。


「何、その理由。可愛すぎ。っていうか、俺の両親が好きなの？」


「うん」


「……変わってるな」


「そう、かな？」


普通にいい人だと思うんだけど。


目の前で未だに論争を広げる二人の間に、私は手を差し込んで。