自意識カジョーでアホな男の1週間
なんとこの餅すげえ。

一年以上持つのか。

それを今食すのは

もったいないかもしれん

という思いが一瞬、

脳裏に過ぎるものの、

俺の腹の虫は

そんな一瞬の理性なんかすぐにかき消す。


瞬時に俺は調理法を思い出す。


家庭科はやはりやっといてよかった。


「さっき、

 部屋をあさっていたときに

 インスタントの味噌汁が

 あったはず!」


俺は、お雑煮をつくることを

思いついたのだ。


味噌汁内に溶け出す餅を想像して、


口内には唾液が充満しだす。


俺は鍋に水を汲み、


その中に


鏡餅を丸ごと突っ込み、

火にかけた。


火にかけたものの、

周知の通り、

鏡餅は二段階戦術を取っている。


餅の上に

更なる子餅が乗っているのである。


亀の子のように。


そしてそのせいで、

餅の中心部に

なかなか火が通らない。


ああ、


せめて

親餅と子餅を切断してから、

鍋に入れればよかった。


だが、後悔すでに遅し。


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