自意識カジョーでアホな男の1週間
餅の表層部が

鍋の中でどろどろに

溶け出している。


どろどろしている一方で

中心部は箸が通らぬほど硬いのだ。


ああ、

ああ。

しゃらくせえ。


腹が異常に減っており、

目の前の食物を食せない

えもいわれぬ欲求不満が相まって、


俺は、

鍋の中のどろどろしてきている餅を

箸でつかみ、

皿に入れ、

電子レンジに突っ込んだ。


2分も熱せば大丈夫だろう。


俺はショートカットを使ったのだ。


鍋の熱よりも

電子レンジの熱の方が圧倒的に強いのは、

一人暮らしで学んだ。


2分の間、俺は息を止めて待った。









電子レンジの音が鳴る。


2分立ったのだ。


俺は、

幼子が

寝静まった小動物を

微笑み混じりにこっそりと眺め見るときのような、

純真な心持で

電子レンジへと

向かった。


レンジ内を見た瞬間、

俺は









と思う。



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