イン a ドリーム ■
ペン型のラケットをくるくる回し、渡り廊下を歩いていると、横目でこちらに誰か歩いてくるのが見えた。


あっちから来たってことはここ突っ切って第二グラウンドに行くのかな?


きっと野球部だろうと思ったが、何となくそちらに視線を向ける。


5m程離れた先には…


無精髭のイケメンが立っていた。




「あっ。」
「あっ。」




止まる二人。


私は首を正面に戻し、見なかったことにした。


そして足を早めて歩き出す。


後ろで、「おい。」と呼び止められる声が聞こえたが、きっと気のせいだろう。


そう、気のせいに違いない。


あの髭面イケメンがこの学校にいるはずがない。


チラッと後ろを向けば、あの長い足でどしどし迫ってきているが、行く方向が同じなだけだろう。

それでも、思う…




ついて来ないでーーーー!




目前に迫った校舎の入り口はこんな時に限って、扉が閉まっている。


夏なんだから開けとけよー!


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