イン a ドリーム ■
頭の中のシュミレーションが崩壊し、真っ白になっていく。


体からは冷や汗が滝のように流れる。


私はドアノブを持ったまま、振り返れなかった。


「あ、あれ?もしかしてさっきの警察の人ですよね?先ほどはどうもーー。」


「何、今気づいたみたいなこと言ってんだよ。」


「な、なんのことでしょうー?私、急いでいるので、その手離してもらえませんか?」


自然に言ったつもりなのに、私が言った言葉は完全に棒読みになっていた。


「だから、何で逃げる。
お前、さっき俺と目ー会ったよな?」


「私、目が大きいので、よくそう言われるんですー。」


「あっ?って言ったよな?」


「言ったかな~ちょっと記憶にないですね~」


「お前、どこぞの政治家か?」


啖呵を切るような突っ込みが入る。


「いえ、通りすがりの暑さに頭をやられたただの女子高生です。」


そんなことを言っても信じてくれるはずもなく…


職質…否、詰問が続く。



「後ろ降り返ったよな?」


「振り返ったかな~ちょっと記憶にないですね~」


全力でとぼけて誤魔化すか、これ以上誤魔化しようがなく、逃げ場のない所まで追い込まれていく。


「お前、人と話すときは背中向けて話せって言われたのか?ほら、俺の目ー見て言ってみろよ。」


仕方なく、言われるまま振り返り髭面イケメンと対峙する。

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