イン a ドリーム ■
無駄だと分かっていたが、屋上にも視線を滑らせた。


すると、どうだろう。


私の予想を越えたものを見つけた。


なんで、今まで気づかなかったのか。


きっと、凄く大きい物でもないし、凄く派手な物でもないし、私とそれには幾分距離もあったからだろう。


それは、長く伸びた塔の影の、丁度屋根部分にあたる所に置いてあった。


真っ直ぐ一本に伸びる影は、似ても似つかわしくないレッドカーペットを連想させ、私をそれと繋いでいるような、導いているような、そんな感覚にさせた。


誰かの忘れ物だろうか?


何故か無性に気になる。


素振りが終わるまで待てないほどに。


私は確認することにした。


勿論、素振りはしたままで。


それは一刻も早く終わらせて暑さから解放されるためだ。


この際、歩きながらちゃんとした素振りが出来るかはおいておこう。


それで素振りの意味があるのかという問題も置いておこう。


しかし、手を休めることはしない。

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