イン a ドリーム ■
手を休めたところで、素振りの回数を誤魔化したところで、素振りせずに戻ったたところで、監視している者はいないのだから、咎められることはない。


しかし、私は手を休めないし、素振りの回数をちょろまかしたりもしないし、ましてや素振り自体しないなんて選択肢はしない。


マイルールがあるわけでも、こだわりがあるわけでもない。


こんなんだから、真面目なのか不真面目なのか、とよく言われてしまうのだ。


まあそんなんで、素振りをしながら来てみると、それはティシュ箱程の大きさの箱だった。


その箱の蓋を、素振りのしていない方の手で開けた。


この時でさえ、私は素振りを止めない。


だが…


私は手を止めた。


いや、手を止めていた、と言った方が正しい。


箱の中のモノが私の手を止めさせたのだ。


箱の中のモノはドラマや映画でたまに見る"それ"に似ていた。


三本の筒から伸びる赤、青、緑の導線。
そして、刻々と数字を減らしていくデジタル式のタイマー。


まるで、爆弾だ。


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