イン a ドリーム ■
スイッチをもらったことも、そのスイッチを魔法使いのおじさんの言うとおり離さなかったことも、もらった私がここに来ることも、全部が重ならないと起こらない奇跡。


私は力が抜けへたり込んだ。


今更、手も震えてきた。


なんとか生きてるよ、私。


でも、早くここから離れないと…


スイッチはこれだけじゃないかもしれない。


これを作った人が、また動かす可能性だってあるし、爆弾はこれ意外にあるかもしれない。


私は体の力を奮い起こし、さっき開けっぱなしにした扉に足を向けた。


スイッチはまた役に立つかもしれないからと、ポケットに戻した。







今日はなんて日なんだろ…


朝から痴漢に会うわ、嫌な男に会うわ、爆弾騒ぎに会うわ…


散々な日だ…








だけど、今日の出来事はそれだけで終わりじゃなかった…








私は足を止めた。


私が見つめる先。


1mも離れてはいないだろう。


さっき、私が扉を開けた入り口に一人の男性が立っていた。

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