強引な彼の甘い溺愛に囚われて!
そりゃ良い人かもしれないけど、私が彼を好きになる要素なんて無に等しい。
私は負け地と准一さんを見つめる。
瞬きせずにいたら目が痛くなってきて生理的な涙で視界が歪んだ。
「……そう。じゃあ信じたげる」
「……う、うん」
やっと納得してくれた…
ホッと安堵したと同時に何故かぎゅっと抱きしめられて驚きのあまり強張る体。
「准一さん…?」
「お願いだからあんまり心配させないでよ」
「心配って…」
一体何の心配をしているというのだ。
私が誰と恋愛するか、っていう保護者目線な話?
されるがままに准一さんの肩に顔を埋めているとそっと耳元で囁かれる。
「まぁ───…マキがそいつのことを好きって言ってたら大変なことになってたかもしれないけど、な?」
「え…」
どういう意味ですか?
バッと顔を上げて准一さんを見るなりニヤッと口端を吊り上げて笑うその表情に背中がゾクッとした。
だらだらと背中に冷や汗が流れ始める。
そして言葉の意味を理解するのに少し時間が掛かった私は俯いて考え始めた。