強引な彼の甘い溺愛に囚われて!
「何妄想してんの」
ゴツンッと軽く小突かれて妄想から現実へと引き戻される。
「いたっ」
「まぁ、頑張れよ?」
それだけを言い残して自分のマグカップと私の頭を乾かし終わったドライヤーを持って部屋へと戻って行ってしまった。
リビングに一人残され静寂が訪れた空間。
ヤバイヤバイヤバイ……現金な私。
准一さんと一緒、という事実だけでこんなにも舞い上がってしまう。
勉強まで見てもらえるなんて。
テストは自分のためにも、准一さんのためにも本気で頑張ると決めた。
拳を握りしめた後、緩む頬を押さえながらスキップして部屋へと戻るのだった。
ドアを開くと、真っ先に目に止まったのは机の上で震える携帯。
着信を知らせるそれを慌てて手に取り、相手も確認せずに耳に押し当てた。
「はい、もしもし!」
『もしもし、マキ?俺…凪だけど』
「凪くん?どうしたのー?」
着信の相手は凪くん。
そういえば今日の帰り際に凪君とラインと携帯の番号交換したんだっけ。
『驚かせてごめん。ちょっと相談したいことがあって…』
「相談?」
『ああ、康史がついにゆきのに告りたいって言ってて』
「ぇえ?!」