強引な彼の甘い溺愛に囚われて!
「誘拐されるかと思った?」
え?
「それともこのまま何かされると思った?」
え?え?
小音量で呟く声に私は聞き覚えがあった。
もしや…とゆっくりと視線を下に向ければ見覚えのあるシャツの袖。
香る微かなシトラスの匂い。
……うわぁ、そういうことですか。
私は安堵感でホッと肩の力を抜いた。
すると私の口元に覆いかぶさっていた手は自然と離れて行き「なんだ、わかったのか」とつまらなさそうな声が上から降ってくる。
「いくらなんでもやりすぎなんじゃないデスカ?」
「それは失礼。これくらいやんなきゃ楽しくないと思ってな」
クスリと笑って腕まくりをする犯人…准一さん。
パッと離されて向直れば、珍しくワイシャツ姿なのが視界に入った。
「スーツの上着、どうしたの?」
「ああ、自室に置いて来た。マキの様子を見に行こうと思って」
絶対一人で選んで来るなんて無理だろ?と鼻で笑われた。