強引な彼の甘い溺愛に囚われて!

思ったより顔が近かった!

いかんいかん、勉強中に意識しちゃダメなんだってば!

自分にしっかりと言い聞かせたところで跳ねる心臓を押さえこむ。


しばらくしてバツのついた箇所をやり直したテキストを再び准一さんに見せた。

合ってるかな?大丈夫かな?

テキストを見つめる准一さんをジッと見つめる私。

すると、フッと口元に弧を描いた。


「さすが、飲み込みは早いな。全問正解」

「やったぁ!」


ポンポンと頭を撫でられ、青で丸を付けられたテキストに自然と頬が緩む。


「じゃぁ次いってみようか」

「うん!」


俄然やる気の出た私は黙々と次のステップへと進む。

そんな私を准一さんは愛おしいように見ていただなんて知らなかった。



***


「お疲れ」

「あっ…ありがと」


すっと差し出された紅茶を受け取る。


早いもので、時刻は23時を廻っていた。

勉強を始めたのが21時過ぎだったから3時間ほど経っていた。

テキストも半分以上終わっていてかなり進んだ方だと思う。


温かい紅茶にそっと口を付けてニンマリ頬が緩んだ。
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