強引な彼の甘い溺愛に囚われて!
「………悪いですか」
「ぶっ…ふふ。いや、そんなことはない。この学園は広いから探検したくなる気持ちはよくわかる。そろそろSHRが始まる時間だろう?教室に戻りなさい」
「…はい」
とりあえず下ろして欲しい。
いつまでも浮遊感があるのはどうも慣れない。
「あの…すみません。下ろして下さい」
「ああ、そうだったな。あまりにも小さすぎたから…」
「……むっ」
小さいだとー?
けっこう身長小さいのを気にしてる私はチビと言われたようでムカついた。
これでも一応156cmあるの!
理事長はきっと180cm近くあるのだろう。
そりゃ私が小さく見えても仕方ないけど。
下ろしてもらった私は理事長を見上げるような形になった。
目線が……かなり高すぎる。
「ほら、早く戻りなさい」
「…………戻れないです」
「は?」
……私迷ったんですよ。
先を歩けばあの暗い道。
後ろの廊下を見ても渡り廊下が二本あって分かれ道。
ここがどこだか全然分からない。
「…ここまで迷ってきたんです」
「ぶはっ!」
今度こそ大きく噴出した理事長はお腹を抱えて笑い出した。