強引な彼の甘い溺愛に囚われて!
私はゆきのと一緒に街中のファッションビルを訪れていた。
お目当てはもちろん、4階の水着専門店。
店内を見回すと、私たち以外にも同じように高校生が水着を見てはしゃいだりしていた。
何着か見たのち気に入ったものを結局二人して購入。
それに浮き輪にビーチボール、夏に大活躍のカゴバッグまで。
ビル一帯が夏物一色で私たちみたいなテスト終わりらしき学生でお店は賑わっていた。
少し疲れて、アイス食べたいねの一言で期間限定のフレーバーを口にしながら、海への妄想を語りつくしてゆきのと別れた。
海かぁー…最後に行ったのはいつだったっけ?
確かまだ、お父さんがいる時だった気がする。
だからきっと小学生低学年の頃の記憶だ。
家族3人で海へ行って、カニを取ったり、浜辺で砂のお城を作ったり…
懐かしさに浸っていると、玄関のドアが開く音がした。
早帰りをして家でゴロゴロしながら准一さんを待ち続け気づけば窓の外も真っ暗。
時計に目をやれば午後の8時を指していた。
私はバタバタと裸足で廊下を駆けた。