強引な彼の甘い溺愛に囚われて!

「…すみませんね、方向音痴で!」


本当に失礼しちゃう。


「いや、ごめんごめん。まさか高校生にもなって…ぶくくく」

「悪かったですね。どーせ地図も読めませんよ」


この人本当に学園の理事長?

だったら私みたいな迷子をもっと出さないためにも地図を分かりやすくしたらどうなの?

私はぷくっと頬を膨らませ膨れっ面になる。

理事長は私のことなどお構いなしにまだ笑っていた。


「はー面白い。やっぱり迷子じゃん。しょうがない、教室まで連れてってやろう」


目じりに涙を浮かべて笑い疲れたような顔をすると私を見下ろした。


「本当ですか?!」

「ああ、じゃないと一生ここに居そうだからな」


……悪かったわね。

唇を尖らせて理事長を睨み上げた。



「ほら、おいで。置いてくよ」

「はい!」


先に歩き出した理事長を私は急いで追いかける。

足の長い理事長のあとを数歩後で歩き出した。



理事長の第一印象。

黙ってれば本当カッコイイのに。
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