強引な彼の甘い溺愛に囚われて!
「やぁ、生徒諸君。しっかり学園で勉強するんだよ?じゃあワタシはこれで戻るかな」
『きゃーー!』
キラキラの笑顔を教室に振り撒いてヒラヒラと手を振る理事長。
うわっ…!たらしだこの人。
クラスの子達ほとんど叫んだよね、今。
私に背中を向けて去っていく理事長に小さくぺこりと頭を下げて教室へ入った。
他のクラスの子達の視線も廊下を歩いていく理事長に釘付けではないか。
「マキ。あれだけ一人で単独行動しないでって毎回注意してるのに」
「ごめんなさい…。だって居辛かったんだもん」
本当にわかってないんだから、とぐりぐりと頭を撫でられながら私はしょぼんと俯いた。
ゆきが…
ゆきがなんだか離れていっちゃうみたいだったんだもん。
「でも、なんで理事長が一緒に?」
「迷って困ってたら偶然拾ってもらえた…?」
「なにそれー猫みたいな言い方。でも良かったね。私もイケメン見れて幸せだったぞー」
顔だけね。顔。
私はもっと優しくて紳士的な人かなーと思っていたのに。
理想とはかけ離れた雰囲気に少しばかり残念だった。