強引な彼の甘い溺愛に囚われて!
「あの人は顔だけだよ、かーお」
「えー?中身もイケメンじゃない。じゃなかったらあんなキラキラした笑顔振り撒いてくれないよっ!」
大人の男、素敵!
なんてきゃーきゃー騒ぐゆきのはミーハーだ。
「さっき話してた男の子たちはいいの…」
「あー!違う、私もいけなかったんだよ、マキごめんね?ちゃんと一緒に居るから」
テンションが急降下してる私をぎゅーっと抱きしめてくれた。
ゆきのが悪いわけじゃない。うじうじしてる自分も悪い。
「私も友達作りしなきゃ」
そんな話をしていると、担任が戻ってきたので私達は席に戻ったのである。
1日が終わり放課後。
昇降口で靴を履き替えて玄関を出ると見慣れた車が視界に入る。
「あれ……?うちの車だ」
「本当だ!ほら、行くよ!」
ゆきのの言葉に頷いて、校門前で止まっているパープルの車の元へ。
パープルの軽自動車はお母さんの愛車。
外車で左ハンドル、入学早々けっこう目立つ。
窓ガラス越しのお母さんを見て、通っていく男子高校生たちはみな頬を赤く染める。
マザコンなことを言えば、母は年齢のわりに綺麗だ。
私は窓ガラスをコンコンッとノックして右のドアを開いた。
「お母さんどうしたの?」
「おかえり!これから大事な用事があるからマキちゃんも連れて行こうと。あら、ゆきのちゃん、いつもありがとうね」