強引な彼の甘い溺愛に囚われて!
しばらくお互い無言でただただ海を眺めていた。
波が行き来するその瞬間をジッと目で追う。
まるで別世界にいる気分だ。
すると、この場にはそぐわない軽快な音楽が流れ始めた。
時間が止まったような世界から現実へと引き戻される。
「あ、康史から電話だ」
そう言って凪君は私に一言謝ると、携帯を取り出し耳に当てると話始めた。
私も携帯を取り出して時間を確認すると、既に22時を回っているではないか。
随分と長い間ここに居たようだ。
凪君の電話が終わり私は言葉を待った。
「戻ってこいってさ」
ふっと溜め息をついて立ち上がる凪君に私は戻ろうかと言って立ち上がった…途端に体勢を崩した。
「きゃっ!」
「危ない!」
思わず海の方へ顔面からダイブしそうになったところで目の前に腕が伸びてきた。
スローモーションで動くそれにぎゅっと目を瞑ると思っていたより衝撃が少ない。
というより何かに支えられているようなそんな感じだ。