強引な彼の甘い溺愛に囚われて!
クスリッと笑って困惑する私の頭をポンポンと撫でた。
人から好きと言われることがイマイチどういうことかわかっていない。
自分が好きだと感じるのとはまた違うような気がしたから…
「それとも…他に好きな人でもいた?」
「……っ」
「……あーそうなんだ、いたか。じゃあその人と付き合う前に俺も頑張っちゃおっかな~?」
おどけて笑ってみせるけど、その瞳には少し寂しそうだった。
私が凪君をこんな顔させてると考えたら余計に胸が痛む。
何も言えずにまたも俯いてしまう私を凪君はもう一度抱き寄せた。
「ごめん。いきなり過ぎた。忘れて…とは言わないけど、胸の中に留めておいてくれたらいいな」
「……うん」
「それと、別に気使って態度変えたりしなくていいから。いつも通りで。OK?」
「う、うん…わかった」
返事をするのがいっぱいいっぱいだった私を放すと、よろしい!と微笑んだ。
ああ、私こそズルい。
凪君の気持ちも尊重しなきゃいけないって思ったのに、この笑顔に頼りすぎているんだ。
心の中でごめんね…と呟くことしか出来ずにいた。
「さーて戻るか」
そう言ってお互いに立ち上がると元来た道を歩いてホテルへと向かったのだった。