強引な彼の甘い溺愛に囚われて!

ダークグレーのスーツにワイシャツを腕捲りさせ、ノーネクタイ。

いかにもクールビズしてます、という格好の先輩はとても目立つ。


「伊緒先輩…」


神田 伊緒さん。

今日此処、会議の行われた白金学園の理事長であり俺の尊敬している先輩。

俺も伊緒先輩もこの高校の卒業生だ。


「悪かったないきなり話そうなんて」


予定があったんじゃないのか?と心配そうに聞いてくる先輩に俺は笑って首を振った。


「何にもないですよ。会議の後は直帰のつもりだったんで、先輩から誘ってもらえて良かったです」


そう言えば先輩は嬉しそうに微笑んで、俺を連れて会議室を出たのだった。


「うわー…懐かしい」

「だろー?卒業してもう…5年目か」


指を折り曲げながら数える先輩に相槌をうつ。


(そうか…もう5年も前の話なんだなぁ)


連れて来られたのは白金学園3大見物所の一つである。

食堂、基レストラン。

相変わらず学生が使うようなものとは思えないほどの煌びやかな装飾品で豪華なそこに俺は苦笑いを零した。

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