強引な彼の甘い溺愛に囚われて!
先輩いわく夕食をご馳走してくれるらしい。
願っても居ない申し出にご馳走になることにした。
学園内の食堂にいるのは帰省をせずに残った生徒達がちらほらいるぐらいだ。
そんな中理事長である伊緒先輩が食堂を通るなり…それはもう盛り上がる。
伊緒先輩も惜しげもないくらいの笑顔を振りまいて手を振ってしまっている。
忘れていた、この人はそういう人だった。
目立つのは格好だけでなく、この美形な顔も要因の一つかもしれない。
奥の方にある席へと案内され、俺と先輩はそこに座った。
さっさと注文して食堂の景色を眺めた。
すると、先輩に「なぁ…」と声を掛けられて顔を前へと戻す。
その前を見た時の先輩の顔は…何か面白いものを見つけたような意地の悪い笑みを浮かべていた。
この顔には見覚えがある。
在学中、散々というほど見てきた何かを企んでいる時の顔だ。
「なんですか」
「そんな嫌そうな顔しなくても」
眉を上げて目を細めて口元を引き攣らせた。