強引な彼の甘い溺愛に囚われて!
「お前さー…女とかいないの?」
「は?」
いきなり何を言い出すかと思えば、この人は。
いつもこうだ、唐突に物事を聞き出すものだから俺も昔のままの感じで返してしまった。
「は?じゃなくて。俺らもう25だよー?」
「俺ら、じゃなくて先輩が、です。俺はまだ23ですから。先輩こそ、カッコイイんだから彼女くらいいるはずでしょう?」
「いや、俺の話しは後で。今俺は准一の話が聞きたいの」
「えー…」
そう言われても…俺は正直に話す質でもないんだが。
返答に困っていると、伊緒先輩はテーブルに頬杖をついて短く息を吐いた。
「准一はカッコイイからねぇー…。女が居すぎてどの子のこと話せばいいか困ってるのかな?」
「違います。俺をそんな浮気性みたいな扱いしないで下さい」
「じゃぁ何も返答に困ることないじゃないか」
「…………。好きな子はいます」
美形が微笑むと心臓に悪い。
全てを見透かされたような気がして居た堪れない。
いや、全ての美形がそうなんじゃなくて、“伊緒先輩”だからだ。
思わず言ってしまったが…先輩はどんな反応をしているんだろうか。
ちらり、と先輩に視線を向けると「ほぉー…」と少し楽しそう。