強引な彼の甘い溺愛に囚われて!
王冠祭
あっという間の夏休みが終わって、慌しくも次の行事へと準備を急ぐ。
私は大量のアイスを入れたダンボールを持ちながら教室内と外とを行き来していた。
残暑が厳しいこの季節、階段を駆け上がるのは一苦労。
やっと思いで教室に着いたかと思うと背中を伝う汗が酷い。
ゆきのは他のグループで、看板作りをしていた。
私は近くまで寄って差し入れのアイスをその輪に居たみんなに一つずつ差し出す。
「アイスやったー!マキも大変だねぇ」
「持ってくるまでが重かったけど大丈夫。看板どう?」
「見てこれ。力作」
そう言って私に見せびらかした看板は綺麗な配色でとても見やすい。
私は親指を立てて見せると再びダンボールを持って立ち上がった。
「あれ?もう行くの?」
「外で屋台作ってくるところに配らなきゃいけないんだよね」
「一緒に行く!」
パンパンとスカートを払ってゆきのはアイスを持ってそのまま私の後に続いた。