強引な彼の甘い溺愛に囚われて!
「違うの?」
「そう見えた?残念ながら俺の片思い」
そう行って私の肩に手を置いて歩き出す凪君。
「え…ちょっ凪君?」
私が声を掛けても凪君は黙ったまま肩を押してくる。
そのまま会話することなく昇降口で靴を履き替えて外に出たのだった。
少し足早に、それでも私の歩幅に合わせて前を歩く凪君。
どうしよう…
明らかにあの子は凪君が好きで私を彼女と思い込んでた。
でも彼女じゃないってわかって嬉しそうにした途端に、あんな言葉。
凪君も諦めてくれたと思ってたのに…それはどうやら私一人の思い込みだったようだ。
俯きながら歩いていると、ピタリと凪君の影が動きを止める。
「……ごめん。マキに彼氏がいるから諦めなきゃいけないってことはわかってるんだ」
「う、うん」
「でも彼氏が放課後迎えに来たりもしてないから、その間くらい俺が一緒にいてもいいかなって」
「……う、うーん…」
言われてみればそうかもしれない。
彼氏は一応他校って話になってるから、放課後も会わないで凪君と帰ってたら不審に思われているかもしれない。