強引な彼の甘い溺愛に囚われて!
「あの時はたまたま担任を呼びに行こうとして、職員棟に行った。そしたらマキが理事長室から出てきて…人気のない廊下でキスをしているのが見えたんだ…」
「…っ!!」
嘘、あんなところを誰かに見られていたなんて。
迂闊だった。
というより私がしたわけじゃないけど、このこと准一さんに知られて、准一さんだけじゃなくて学園に広まれば…
最悪の事態を想像した私は青褪めて凪君に詰め寄った。
「お願い!誰にも言わないで…っ」
「………」
顔を逸らして無言の凪君の腕を掴む。
どうしよう、どうしよう。
そればかりが頭の中をぐるぐる駆け巡り、どうすることも出来なかった。
すると、凪君は私の顎に手を掛けて上を向かせる。
そして口を開いた。
「マキが嫌だ、っていうことは俺もしたくない。だから────…俺と付き合ってよ」
「……え」
残酷な言葉だった。
真っ直ぐ見つめながら揺れない瞳が私を射抜く。