強引な彼の甘い溺愛に囚われて!
「ただいまー…」
「おかえり」
「え?」
バタンッと玄関が閉まり、誰もいないだろうけどただいまを忘れない私に“おかえり”と掛かった声。
顔を上げると、まだ学校から帰宅したばかりのような准一さんの姿。
「あ…、今日は早かったんだ」
「外勤だった。車だったのにマキのこと見かけなかったなぁ」
「私も、いつもと違う道のりで帰ってきたから…」
なんでだろう、平然を装わなきゃいけないのに。
私は准一さんの顔を直視出来なかった。
「そっか。……で、なんでそんな感じになってんの?」
ん?と屈んで私の顔を覗きこむ。
准一さんの顔が近くになった瞬間、ビクリと体が震えた。
「なんでもないよ!ちょっと疲れちゃったから」
「……ふうん」
慌てて靴を脱ぎ揃えて准一さんの横を通り過ぎて部屋に行った。
バタンとドアを閉めて凭れ掛かる。
ずるずると床に座り込み、頭を抱えた。
3日間、二股みたいなマネをするのは辛過ぎる。
けどそれで准一さんとの恋が守られるんだったら容易いもんじゃないか。
そう自分に言い聞かすけど、不安は取り除かれない。