強引な彼の甘い溺愛に囚われて!
「そういうことか。君の望みはなんだ」
「理事長とマキが別れることです」
「それは出来ない」
「俺がバラすと言っても…?」
強行手段に出る、ということか。
頭ごなしに考えている高校生と俺は違うんだ。
はぁ、とわざとらしく溜め息を零すと眉を顰めた。
「バラしたきゃバラせばいい」
「なっ!」
もう大人な態度を見せるのもそろそろ疲れた俺は、ひざ掛けに頬杖しながらそう言い放った。
案の定彼は目を見開き驚きの声を発する。
「いいのかよ…理事長職降ろされるんだぞ」
「別に。マキを失うくらいなら構わない」
寧ろ理事長なんかしてるより親父の仕事を手伝ったりするサラリーマンのがよっぽど向いてると自分では思っている。
それに普通のサラリーマンになればマキと白昼堂々と一緒に居られるしな。
俺の返答にギリリ…と歯軋りをして睨みつけてくる。
予想範囲内の態度でけっこうけっこう。