強引な彼の甘い溺愛に囚われて!

学園行きの電車に揺られながら私はふとあることを思い出した。

あの受験番号を確認に行った…

あの日のこと。


「ねぇ、ゆき?あの人って…学園の人だったのかな?」

「あの人って?」

「ほらっ!受験番号確認して帰る時にゆきがイケメン!って騒いでた人…」


ピンクの絨毯の上を明らかに制服ではないな、と思うスーツのようなものを着た人が歩いていたあの日。


「ああ!あのイケメン!」

「思い出した?」


ああ~とゆきのは私の言葉に相槌をうつ。

そんなこと忘れてたよ、とぺろりと舌も出して。

イケメンには見境ないんだから。



「で、その人がどうしたのー?まさかマキちゃん、恋でもしちゃいましたか?」


ニヤニヤと私を見ながら笑い突っついてくるゆきの。


「違うよ!ただなんとなーく気になってるだけ」


反論しながらも顔は熱い。

きっと真っ赤にでもなっているのだろう。


あまり恋とかには疎く、興味も失せてる私には珍しく気になったあの人。

揺られる電車の景色を見ながらそうやって思い出す。


「そうなの?怪しい。まぁ彼氏出来たら教えて?ダブルデートとかしたいなーっ」


夢見がちに何を妄想しているのか…ゆきのの頬はピンクに染まり惚れ惚れとした表情。
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