強引な彼の甘い溺愛に囚われて!
「……入っていいの?」
低い音で耳に流れた言葉に我に返りピーンとまた固まって「ど、どうぞ!」と家の中へと促した。
危ない………
私服まであんなカッコイイなんて反則だよ!
東郷さんの後に続き私もリビングへと入って行った。
ふわりと甘い香りに包まれソファーに座り、奥からティーセットを持った母親がくる。
「准一君いらっしゃい!待ってたのよ。これ修哉さんがこないだ下さった紅茶だから飲んでみましょうね」
うふふふと上品な笑い方をする母親に苦笑い。
「いえ、こちらこそ朝早くからすみません。後で車に荷物運ぶので」
「ありがとう。本当に助かるわ~」
「…………。」
二人の会話を聞きながらちらりと目の前に座る東郷さんを盗み見る。
あ……こんな風に笑うんだ。
きっと相手がママだからだと思うけど。
初めて話したあの廊下での笑い方とは違う感じ。
なんというか…作り笑顔的な。
私が思うに、廊下での笑いはあれはきっと素だ。
普通に噴いたんだもん…
今となれば貴重は笑顔だったのかもしれない。