強引な彼の甘い溺愛に囚われて!

「ありがとう…ございます」


座って?と促され真っ黒の革張りのソファーに座りキッチンへと入っていく東郷さんを目で追う。

きょろきょろと何度も家の中を目で追う。

確かにあまり生活感のない家だ。

必要最低限のテレビやローテーブルそれと壁の隅にタンス。

家具と言えばそのくらい。

二人とも空けるぐらいだからきっと忙しいのだろう。

こんな中で生活していけるのかと少し不安になった。



「はい、どーぞ」

「あ、ありがとうございます」


そわそわしながら紅茶を受け取って目の前に座る東郷さんを盗み見る。

さきほどの家での行動と至って変わらない。

寧ろ会話が減ったほう…だ。


どうしよう、沈黙が痛い。

何を話していいのかもわからない。



「……ん?どうした」

「いっいえ!えっと…私本当に東郷さんのところでお世話なっていいのかなぁ…と」


遠慮がちにそう呟くと東郷さんの眉がピクリと動いた。



「……ここじゃ不満?」

「そういうわけじゃないんですっ!ただ…その。東郷さんだって理事長という立場ですし……」


たとえ兄妹という形になったとしても私達は義理であって、それ以前に学園の経営者と生徒だ。

同棲まがいなことをしていてなんともいえない気持ち…
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