強引な彼の甘い溺愛に囚われて!
「ねっねっ!あの教頭、頭ヤバイね…」
「ふふっ…そうだね」
隣からゆきのが私に耳打ちして私は小さく笑った。
周りもけっこうこそこそと話していて私達の話し声もそれに紛れ掻き消される。
そして、
『続きましてー…本校の新理事長よりご挨拶いただきますー…』
そのアナウンスが流れたと同時に私はステージに釘付けになった。
あの人…
ゆっくりと上手の階段からゆっくりとステージに上がってくる男の人。
綺麗でサラサラとした漆黒の髪の毛をオールバックにしてスーツを着こなしていた。
「あの人………」
ぽつりと呟いた私の脳内ではつい先日の合格発表を見に行った時の記憶が甦っていた。
桜の花びらに紛れて自分の方へと向かって歩いていたあの人。
「ん?マキどうしたの…って」
私の視線の方向を辿るようにゆきのもステージへと視線を移す。
そして何が言いたいのか分かったかのように何度も私とステージに立つ人物を凝視した。
「あの人だよね?こないだ言ってた人。ゆきがイケメンって騒いだ」
「うん…多分」