強引な彼の甘い溺愛に囚われて!
なんせ自分がちょっとでも良いなと思った相手は…
よりにもよってこの学園の理事長。
そしてつい先日、両親の都合で義兄となってしまった人。
本当に自分はついてないと思う…
がっくりと肩を落とした。
「ゆき…西野君が好きなの?」
こっそりとゆきのに耳打ちをする。
「やっぱりバレたー?康史君本当にカッコイイし、めっちゃ良くしてくれるし」
夢見がちに話すゆきのの幸せそうな顔を見てなんだか私も嬉しくなってしまった。
「良かったね!私も出来るだけ協力するから頑張って?」
「ありがとう!さすがマキ。マキも好きな人出来たらすぐにでも私に教えること」
つんっとおでこを指で押され、よろける体。
本当は今すぐにでも言いたいけど……
これは私だけの秘密の恋。
まだ誰にも打ち明けずに秘めておく。
ぎゅっとブレザーの胸元を握って顔を上げた。
掃除当番を終えて玄関前の階段を降りているとある重大なことを思い出した。
「ああ!」
「えっ?!マキ、どしたの?!!」
いきなり大声を上げる私にゆきのまでがびくっと大きく肩を揺らした。
やめてよ、踏み外すじゃん…とゆきのは振り返る。