強引な彼の甘い溺愛に囚われて!
Second*Assertive

本性を現した狼




***


「おおーっ!ちゃんと帰って来れた…」


教えてもらった通りの道順で帰るとなんとか辿り着けたマンション前。

最寄の駅からは歩いて20分ほど。

でも駅からこのタワーマンションが見えていたおかげで方向音痴の私でもなんとか帰ることができた。

少し遠回りをしたせいか、着いた時にはすでに40分以上が経っていて少し遠いと感じてしまった。

高層マンションなだけあって見上げると首が痛くなる。

エントランスで管理人さんらしき人にぺこっと頭を下げると笑顔で「お帰りなさいませ。マキ様」なんて言われるもんだから面喰ってしまった。


マ、マキ様だなんて…!

こんな一般人が様付けされていいような身分ではないことは承知だけどなんとなく優越感に浸ってしまう。

鞄からカードキーを取り出してエレベーターの乗り込みボタンを押した。


「ただいま~…」


誰も居ない家にそう呟いて靴を脱ぐ。

パチンッと電気を付けると廊下に灯りが付いて私は足を滑らせながら自分の部屋へと入った。

本当、静かな家。

修哉さんと准一さんの二人で暮らしていた時も毎日がこうだったのかな?
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