◇夢幻~ゆめ~◇


そういって、
私の頭を撫でて帰って行った。


(恵。ありがとう。)


私はまた、
空を見ながらジュースを飲んだ。


『そろそろ帰ろうかな?』


立ち上がろうとしたとき。


『どうしてですの?』


と大きな声が聞こえてきた。


『私はこんなに
数馬様のことを好きですのに。』


『僕には、好きな人がいる。
僕の片思いかもしれない。
でも、あきらめたりしない。』


『まって、数馬様。』


その声はだんだん近づいてくる。


この声は、夢幻様と数馬だろう。


(どうしよう…。屋上に来ちゃう。)


『数馬様…。』


『やめろ。離れろ。』


『まぁ、ひどいですわ。数馬様。』


ドアの向こうで、
二人が抱き合っている。


というか、抱きつかれてる?


< 42 / 74 >

この作品をシェア

pagetop