◇夢幻~ゆめ~◇
そういって、
私の頭を撫でて帰って行った。
(恵。ありがとう。)
私はまた、
空を見ながらジュースを飲んだ。
『そろそろ帰ろうかな?』
立ち上がろうとしたとき。
『どうしてですの?』
と大きな声が聞こえてきた。
『私はこんなに
数馬様のことを好きですのに。』
『僕には、好きな人がいる。
僕の片思いかもしれない。
でも、あきらめたりしない。』
『まって、数馬様。』
その声はだんだん近づいてくる。
この声は、夢幻様と数馬だろう。
(どうしよう…。屋上に来ちゃう。)
『数馬様…。』
『やめろ。離れろ。』
『まぁ、ひどいですわ。数馬様。』
ドアの向こうで、
二人が抱き合っている。
というか、抱きつかれてる?