独占したい、甘々に。【完】
そう言った那津くんの表情はどこか切ないものに感じた。





「だからまたこうして偶然出会うことが出来て運命だって勝手に思ってた。…でも、紗雪ちゃんの運命の相手は俺じゃないみたいだね」





那津くんの言葉に、私は何も答えることが出来なかった。





那津くんには沢山助けてもらった。





私が悲しい時、ずっとそばにいてくれた。





私…いつの間にか那津くんの優しさに甘えちゃってたのかな。





…もし、本当にそうだとしたら私…那津くんに酷いことしちゃった。





暗い表情を浮かべる私を見て那津くんが口を開く。





「そんな顔しないでよっ俺は紗雪ちゃんを困らせたいわけじゃないから」


「でも」


「ほら、顔上げて!俺はただ、紗雪ちゃんが幸せならそれでいいんだから」





那津くんはニカッと歯を見せて笑った。
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