独占したい、甘々に。【完】
そんなことを囁かれると、那津くんはふわりと手を離した。





「あはは、紗雪ちゃん顔真っ赤だ」


「な、那津くん~…からかわないで…」


「俺は全部本気だよ?」





那津くんから視線をサッと逸らし、気持ちを落ち着かせようとする。





「…日向くんのところ行きたいでしょ?」





真っ直ぐな目でそう言われては嘘はつけなかった。





私はゆっくりと首を縦に振った。





「やっと素直になったね」





那津くんはそう言うと、私に背を向け歩き出した。





私は思わず叫んでいた。





「ありがとう那津くんっ!本当に、ありがとうっ!…また、学校でね」
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