独占したい、甘々に。【完】
そう大きな手を振っていると、那津くんはこちらへと振り返り、いつものキラキラとした笑顔を浮かべた。





「また学校で、紗雪ちゃん」





那津くんはそれだけを言い残すと、公園を立ち去ったのだった。





那津くん、ありがとう。





自分の気持ちにやっと気がつくことができた。


それもきっと那津くんのおかげだと思う。


…本当に、ありがとう。





そして現実に戻る。





…悠乃に会いたい。





…まだ鶴見さんといるのかな。


私、あの場所から逃げてきちゃったし。





2人が一緒にいることを考えると胸がチクりと痛んだ。





…これが恋する痛みなんだね。





ギュッと胸に手を押し当て、切なげに笑った。
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