*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
さっきの私の話とは全然別の話になっていて、戸惑ってしまう。
そんな私の表情に気付いた修平さんは、少し情けなさそうにまなじりを下げて微苦笑を浮かべる。
「入社して数年間は、自分でも本当に必死で余裕なんか無かったと思うよ。『瀧沢』の名に相応しい仕事をしなければ、伯父の顔にも父の顔にも泥を塗ってしまう。それだけじゃなくて、俺個人への評価が直接会社の評価へも繋がってしまう。だからとにかく鬼のように仕事をしてた気がするな。」
前にハウスキーパーの佐倉さんが『瀧沢様は昔よりましにはなりましたが、仕事熱心すぎです。』と言っていたことがあったけれど、この時のことをいっていたんだろうか。
「仕事に慣れてくると周囲の人間関係なんかも目に入ってきて、勿論俺のバックグランドなんか気にせずに接してくれる同期や先輩ももちろんいたけれど、社長である伯父目当てに俺にすり寄ってくる連中も数多くいた。言い寄ってくる女性も同じようなもので俺の『瀧沢』の名が気に入っているだけだった。」
苦々しげに修平さんはそう言うけれど、彼に言い寄ってくる女性はきっとそれだけではなかったんじゃないか、と私に思える。