*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
(『御曹司』っていう肩書がなくったって、修平さんは十分すぎるくらい素敵だもん。きっとこれまでに好意を寄せてきた女の人たちは、そんなところも好きになったんじゃないのかな……修平さんだってその中の誰かを好きになってもおかしくないし……)
じぃっと物言いたげに見つめる私の視線に、彼はくすりと小さな笑みをこぼして私の頭をポンポンと軽くはたく。
「杏奈が思っているようなことは何もないよ。俺はとにかく『瀧沢』の名前に負けないように仕事をしっかりとこなすことに一生懸命だったんだ。入社して数年は仕事のことしか考えられないし考えたくもなかった。でもそれ以上に、俺の肩書に寄ってくる人間関係や女性に辟易していたんだ。」
そこまで一気に語ると、彼は一旦息をはぁっと吐きだした。
「杏奈に言いがかりをつけてきたのも、そんな俺の肩書目当ての女性の一人だ。…もしかして杏奈、そいつに『相応しくない』って言われたの?」
「えっ、と…や、その、そういうわけじゃ、」
「やっぱり。」
『ない』と言おうとしたところで、被せるように修平さんが呟く。声は恐ろしいほど低く、眉間にはしわを寄せて。
「もうそんなことは二度と言わせないようにする。俺がちゃんと杏奈を守る。だからもう二度と『相応しくない』なんて言わないで、杏奈。」
真剣な瞳で念を押されるように言われれば、黙って頷くしかない。