*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
「修平さんのせいじゃないよっ。私、修平さんとアンジュと暮らす毎日が本当に楽しくて、修平さんが会社でどんな立場にあるのかなんて考えもしなかった…その証拠に、修平さんの肩書なんて全然聞いてみようと思わなかったんだもの。」
「杏奈……」
「それに私だって前に母の仕事のこと、修平さんに黙ってたんだから、お互い様だよね。だから修平さん、もう謝らないで?」
そう。私の母は人気の小説家なのだ。修平さんは母『橘ゆかり』のファンだということを聞いていたのに、なかなか言い出せずに黙っていたということがあった。
だから、自分に付属する特殊な環境のことを言いにくい気持ちは、何となく分かるつもりだ。
「私、修平さんが修平さんだから好きなの。御曹司かどうかなんて関係ない。」
素直な気持ちが口からスルリとこぼれ出した。
修平さんは綺麗な瞳を大きく見開くと、次の瞬間、私の体を強く抱きすくめた。