*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
【杏ちゃんは来週の金曜日って空いてる?】
開いたメッセージは、送り主の性格と同じようにシンプルかつストレートに私の予定を聞いている。
「来週の金曜日の夜……」
何の気なしに書いてある文字を口にすると、隣で着替えていた千紗子さんがこちらを振り向いた。
「あら杏ちゃん、デートのお誘い?」
「デート…なんでしょうか?予定を聞かれただけなんですけど……」
「週末の夜なんてデート以外にないでしょう?」
「そうなんですか?」
「ええ、私はそう思うけど。来週の金曜なら蔵書点検も終わってそうだし、ちょうどいいんじゃないかしら?もし終わってなくても夜なら仕事の後でも間に合うでしょうし。」
「そうですね…じゃあ空いてるって返信しておきます。」
「お誘い、良かったわね、杏ちゃん。」
「はい!」
それから手早く着替えを済ませた私は、早速遥香さんへ返事をした。
千紗子さんがメッセージの相手を修平さんだと思っていることは、全然気付かなかった。