*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
遥香さんから電話があったのは、仕事から帰宅して夕飯の支度に取り掛かろうとした時だった。
『杏ちゃん、今大丈夫?』
そう切り出した遥香さんに「大丈夫です」と答えると、遥香さんはメッセージの中身を詳しく話し出した。
『―――というわけで、もしよかったら杏ちゃんも参加しない?』
遥香さんのお誘いは、来週の金曜日の夜にあるレセプションパーティへのものだった。
なんでも、『TAKI建設』が手掛けた新ビルのお披露目会らしい。
マスコミや近隣の企業や住人の他にも、新ビルのオーナー会社と施工主であるTAKI建設がそれぞれ客を招いて行われるらしい。
遥香さんはそのパーティに私を誘ってくれたのだ。
「まったく関係ない私が行っても大丈夫なんでしょうか?」
行ってみたい気持ちはあるけれど、私みたいな部外者が行ってもいいのか不安になる。
『招待状さえあれば誰でも入れるから大丈夫なのよ。友人や家族を呼んだりしてる社員もいるし。私割り当ての招待状が余分にあるから、是非杏ちゃんに来て欲しくて。』
遥香さんがそんなふうに言ってくれたのが嬉しくて、私は「それなら是非」と返事をした。