*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
図書館に入りロッカールームで制服に着替えてエプロンを身に着けてから、事務所へ向かう。
休館中の今はシフト制ではなくてみんなが一斉に早番シフトで出退勤しているので、事務所での全員ミーティングから仕事が始まる。
「おはようございます」
挨拶をしながら事務所に入ると、部屋の中ほどに人だまりが出来ているの目に入る。
十数人の人が集まっているその中ほどに、頭一つ分飛び出ている人かいる。
その人は私の挨拶が耳に入ったのか、こちらにクルリと振り返った。
「あっ、雨宮さん!!」
いるはずのない人に驚く。
本来なら「雨宮館長」と呼ぶべきところをうっかり間違えてしまったことに気付いたのはしばらく経ってからだった。
それくらいに、驚いた。
「ど、どうして、雨宮さんがここに……」
そう言った瞬間、ハッとした。
「千紗子さんは……」
キョロキョロと見回してみるけれど、その姿は見当たらない。
千紗子さんの姿を探して人だかりに近付こうとした時、
「始業時間だ。ミーティングを始めるぞ。」
この中央図書館の館長である今泉館長の声が事務所に響き渡った。