*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
母に言われた通りに玄関を開け中に入ると、ちょうど二階から母が降りて来たところだった。
「ただいま、お母さん。」
「おかえり。疲れたでしょ?」
「ううん、大丈夫。それよりも仕事中だったんでしょ?邪魔しちゃった?」
母が顔を出していたあの窓は、母の書斎で仕事場なのだ。
眼鏡と髪型を見れば、彼女が『橘ゆかり』として働いていたのは一目瞭然だ。
「ちょうど煮詰まってお茶にしようと思ってたところだから大丈夫よ。杏奈も一緒に飲みましょう。」
「うん。じゃあ荷物を部屋においたら手を洗ってくるね。」
そう母に告げると、私は玄関脇の階段を上って自室へ向かった。