*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
 「言って、杏奈。」

 スッと細められた彼の瞳は甘く魅惑的で、囚われたように見つめあったまま、逸らすことが出来ない。

 (この両腕と両目と同じように、ううん、それ以上に、私の心はずっと彼に捕らわれたまま…)

 朝の目覚めと同時にこんな風に迫られて、逃げることすら出来なくても彼のことを好きな気持ちは変わらない。
 それどころか、ドキドキと激しく高鳴る心臓が、彼のことをどんどん好きになっていると、知らせているようだった。
 
 私は薄く開いた唇から息を吸い込み、そして意を決して声を出した。

 「しゅ、しゅう、へ…」

 「杏奈、ちゃんと。」

 「……修平」

 かろうじて聞こえる程度の音量で、彼の名を口に出した瞬間、私の体がきつく抱きすくめられた。

 思わぬ反応に、私の首筋に顔をうずめている彼の方に顔を向けると、辛うじて見える彼の耳が真っ赤に染まっているのが分かる。

 「しゅうへ…」

 「やばい…半端ないや…」

 「え?」

 私の声に被せるように呟いた彼の言葉がよく聞き取れなかった。 

 「破壊力、すごすぎ。」

 耳から入って来たその言葉の意味を、私が完全に理解するよりも早く、私の唇は修平さんの唇によって完全に塞がれていた。

 「んっんん~あっ」

 いきなり激しい口づけに翻弄され、合間に吐息が漏れる。
 私の口内を蹂躙する熱い舌に抗う術を持たない私は、その刺激に身を震わせることしかできない。

 捕えた私の舌を味わい尽くした後、私の唇をチュウっと長めに吸って離れた彼は、濡れたように光る瞳を細めて私のことを真上から見下ろしながら、妖しく微笑んだ。

 「ごめん、止められないや。ご飯の前に杏奈を頂戴。」

 「~~~っ!!」

 私の答えなんか一つも待たずに、彼の唇がまた私の唇を塞いだ。

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