*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
ヒロ君が運転する車で私が連れて来れれたのは、百貨店だ。
この百貨店は母がよく着物を仕立てる呉服屋さんも入っていて、子供の頃からたまに家族でやってくる。
でもこの日は呉服屋さんのある階ではなく、レディースファッションのある階でエスカレーターを降りた。
「これと、これと…」
「これなんかどうだ?」
「それもいいわね、さすがヒロ。」
足を踏み入れた店でいきなりドレスを選びだした母にびっくりして固まっていると、ヒロ君までもドレスを物色し始めた。
母は数点のドレスをショップ店員のお姉さんに手渡すと、「着替えたら見せてね。」と言って、「えっ、えぇっ!」と驚きの声を漏らすことしか出来ない私を、強引にフィッティングルームへと押し込んだのだ。
そうしてあれやこれやと試着すること数十分。
母もヒロ君も納得する一着が見つかった時、私はすでにヨロヨロになっていたのだ。(私の意見は端から求められていない!)
その後もドレスに合う小物や靴など一式をお買い回ると、すっかり昼食時を過ぎていて、ヨレヨレでペコペコの私はもうしゃべる元気もなかった。
父と母は年頃の娘をあれこれと着飾らせることが出来て満足そうだった。
当の娘はハッキリ言って置き去りだ。
でも新しいドレスは買ってもらえたし、その後美味しいイタリアンに連れて行って貰えたから、まぁ良しとしよう。
食事の後はデパ地下で美味しそうな惣菜やデザートを片っ端から買い込んだ母は、その半分を私に持たせ、そのまま父の運転する車で私を瀧沢邸まで車で送り届けた。
帰宅したらすっかり夕方になっていて、私は両手いっぱいの荷物たちを片付けるとアンジュの散歩に出掛け、いつも通り夕食を準備して修平さんの帰宅を待ったのだった。
その後帰宅した彼に、今日実家での話をあれこれと語ったのは言うまでもない。